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農の匠を訪ねて|VOL.10

【柳沢ファーム】

農の匠VOL.10|柳沢ファーム

100年以上続く美田で伝統を生かしながら新たな挑戦

私達が作っています|柳沢ファーム 柳沢 基之さん

千曲川の南側に広がり、東御市、小諸市、佐久市にまたがる河岸段丘に広がる御牧ヶ原の台地。「御牧(みまき)」は、朝廷直轄の馬の牧場を意味し、その名の通り奈良、平安の昔から馬の産地、飼育地であったことが、遺跡や文献からわかっています。北に浅間山、南に八ヶ岳を望む広大な台地は、全国有数の晴天率と降水量の少なさで果樹や根菜の栽培に適した地として知られますが、古くからこの地に根ざし、ため池の造成や水路掘削などの苦労を経て稲作を営んできた人々もいます。そうした祖先が残した美しい水田を、今も大切に守り続けているのが「柳沢ファーム」の柳沢基之さんです。代々の伝統に敬意を抱きつつ、今の時代に合う、安全で、おいしい御牧ヶ原産コシヒカリの生産に情熱を燃やす柳沢さんをお訪ねしました。

先祖代々の水田を守り続けて

「柳沢ファーム」の水田は、四季折々、昔ながらの心なごむ稲作の風情で迎えてくれます

水が入っている時期には、いろいろな種類のカエルが大合唱を奏で、晩夏から秋にかけてはトンボが群れなして飛び回る。鮮やかな緑から黄緑へと彩り変えていく稲の葉。そして成長とともに重く頭を垂れ、やがて黄金色の輝きを放つ稲穂……。「柳沢ファーム」の水田は、四季折々、昔ながらの心なごむ稲作の風情で迎えてくれます。ここは、江戸時代からの記録が残る柳沢家代々の水田。少なくとも100年以上の歴史を持つ稲作の地です。

「柳沢ファーム」の水田やその周囲の農地には、白樺高原の女神湖から引いてきた澄んだ水がもたらされています。

絶え間なく響く涼しげな流れの音は、周囲にめぐらされた「堰(せぎ)」を通して水田に供給される澄んだ水の響きです。もともと降水量が少ない御牧ヶ原周辺には大小400のため池があります。蓼科山をはじめとする八ヶ岳山系の湧水を集め、農耕用水にするために先人達の長年にわたる努力で、多くのため池や無数の堰が築かれました。「柳沢ファーム」の水田やその周囲の農地には、白樺高原の女神湖から引いてきた澄んだ水がもたらされています。今では観光のメッカである白樺湖や女神湖も、実は農業用のため池として人口で築かれた池なのです。この地に広がる美しい水田は、先人達の血のにじむような苦労の末に伝えられてきた遺産といってもいいでしょう。

「おいしい米づくり」への探究の思いは深まるばかり。2

柳沢基之さんの家はこの水田のすぐ目の前にあります。幼い頃から農作業を目にし、手伝いながら育ちました。大人になってからはメーカーに勤務し、土日に農業に従事するという兼業農家の日々が続きました。農家の跡継ぎとして先祖の苦労がにじんだ美田を守り続けていくことを自分の使命として、積極的に稲作に携わりましたが、もともと探究心旺盛で、これと決めたら徹底的に追求しないと気が済まない性格です。「おいしい米づくり」への探究の思いは深まるばかり。2010年、職場を早期退職し、かねて準備を進めてきた有機栽培に、本格的に着手したのでした。

ここが【匠】のポイント

おいしさへのたゆまぬ努力

柳沢ファーム 柳沢 基之さん

兼業時代は土日しか農業ができないため、作業のほとんどを農機任せにせざるを得ないのが実情でした。 「もちろん今も農機なしにはできない作業が圧倒的に多いのですが、農機頼みで、その仕様に合わせた農業を行うのではなく、農機を活用しながら、稲の様子を一株一株見て歩いたり、健康状態や生育の状況を確認したりするていねいな手間ひまが、おいしい米づくりには不可欠なのです」

おうかがいしたのは、水田の作業で最も手のかかる除草の作業中でした。柳沢さんはエンジン付の除草機で一条一条除草していく作業を通し、田の底土の感触、株の健康状態、水の温度などを体感的にチェックしていきます。 「草取りは確かに手間ですが、自分で水田に入って稲の様子を確かめることができるので、必要な手間だと思っています。そうした手間を重ねて米づくりを進めていくことが、今は楽しいですね」

有機栽培とは、農水省のガイドラインに「有機農産物」の定義として定められた「化学合成農薬、化学肥料、化学合成土壌改良材を使わないで、3年以上を経過し、堆肥など(有機質肥料)による土づくりを行ったほ場において収穫された農産物」を栽培することをいいます。隣接する水田でも化学合成農薬や化学肥料が使われていないなど、厳しい条件があるのに加え、一般的な栽培方法より収量が低下するともいわれています。

そこで、土の力を高めるために独自に有機肥料を研究。株間をあえて広げ、稲が健康的に生長する環境づくりによって収量を安定させる取り組みを進めてきました。株間を広げ、除草して風通しのいい状態を保つことで、個々の株が病気にかかりにくくなったという手応えもつかんでいます。「お客様の“おいしい”というご感想が何よりの支え」という柳沢さん。おいしさと品質の「もっと」を追求し、工夫と努力はとどまるところを知りません。

米のほか、御牧ヶ原の環境や土壌の特性を生かしたじゃがいもやそばなどの栽培も、年々安定してきている様子。実はそば打ちも技術を磨いて10年あまり。自家栽培のそばを柳沢さん自身が手打ちしたそばが「農家直売どっとこむ」にお目見えする日が楽しみですね。

農家直売どっとこむで匠の農産物を【直売】しています!

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