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農の匠を訪ねて|VOL.06

【清香園】

農の匠VOL.06|清香園

磨き続けた技術をより高めさらなる味の極みへ

私達が作っています|清香園 清水 宏子 さん

東御市の公共文化ホールの名称は「サンテラスホール」。その名は、日照が豊富で雨が少ない、まるで地中海地方のような気候に恵まれた、南向きの段丘斜面に広がる東御の地形に由来しています。土地の人々が愛着を込めて「サンテラス」と呼ぶ、果樹栽培に適したこの斜面に、清水宏子さん・龍輔さん親子が営む「清香園」も広がっています。
江戸時代、この地の名主として地元の農家衆の信望を集めてきた清水家は、焼酎の蒸留、くるみの苗木生産販売、ぶどう・くるみ生産と生業を変化させ、地域の経済振興に貢献してきました。代々の当主に一貫するのが、技術を大切にしながら向上していく姿勢。当代の宏子さん・龍輔さんも、高度な生産技術をベースに、小さい子どもからお年寄りまで、安心して口に入れられるぶどう、くるみの生産に情熱をそそいでいます。

自然の実りを技術でサポートし、さらにおいしく!

お訪ねしたのは初夏。「摘果」「適粒」作業の最盛期

「清香園」の巨峰のぶどう棚をお訪ねしたのは初夏。たっぷりとした良い実がつくよう、多すぎる房を落とし、さらに各房の粒の数をそろえる「摘果」「適粒」作業の最盛期です。この時期は、夏至前の長い日を最大限に活用し、毎日夕方遅くまで作業が続きます。

枝の伸び方や葉の茂り具合を見て、約2mの枝に一房ずつしか残しません。長年の経験から「一番」と定めたものだけを残します。

「清香園」の巨峰栽培では、枝の伸び方や葉の茂り具合を見て、約2mの枝に一房ずつしか残しません。一房はそれぞれ35粒。房の位置、大きさ、成長の状態、棚内全体のバランスを見計らい、長年の経験から「一番」と定めたものだけを残します。青々とした若い房や実を惜しげもなく落としていくため、「地面が、それこそ真っ青になるほどよ」と、清水宏子さん。この道40年のベテランです。

手間の一つひとつを、しっかりとした技術的な裏付けに基づいてきっちりおこなっていくことが、清水さんのぶどうをおいしくしていきます。

このほかにも、花の時期に房を想定して整える「房切り」、つるを棚に誘導する「誘引」、日当たりを考えて多すぎる葉を落とす「夏季剪定」など、ぶどうはいくつもの過程を経て育て、収穫が終われば、土づくりや木の手入れが待っています。こうした手間の一つひとつを、しっかりとした技術的な裏付けに基づいてきっちりおこなっていくことが、清水さんのぶどうをおいしくしていきます。

くるみの木を育て、実を収穫・出荷しています。

「清香園」は、かつてくるみの苗木販売も手がけていました。現在は、くるみの木を育て、実を収穫・出荷しています。「初夏の害虫対策に手を焼くものの、基本的には木任せ、自然任せ」というくるみの栽培も、実は先代、先々代の技術があったからこその賜物。自然に寄り添いながら、その営みを技術と心意気で丹念にサポートする、美しい農業の姿がここにあります。

ここが【匠】のポイント

“焼酎屋”からくるみ苗木商、そしてくるみ・ぶどう農家へ

清香園 清水 宏子 さん

「清香園」の名は、民主政治と世界平和の実現に生涯を捧げた政治家・尾崎行雄氏(雅号「咢堂(がくどう)」1858-1954)の命名。戦中戦後にわたる先々代、先代と氏との深い交流から、名前をいただきました。

当時の清水家は酒粕から蒸留する焼酎の蔵元であり、くるみの苗木商でした。明治期にアメリカから導入されたくるみを全国に先駆けて栽培をおこない、地域の重要な産業としていた東御(かつての滋野村)地域では、優良品種の発見・開発や育成にも熱心でした。その一端を担っていたのが清水家です。むずかしいとされる接ぎ木の技術確立にも、大きな貢献を果たしました。皮が薄く、実が大きく、風味の豊かなカシグルミの「清香」は、清水家が見出した品種。「清香園」から名づけられ、現在、希少な国産ぐるみの中でも、最高の品種とうたわれています。

宏子さんがこの家に嫁いできたのは40年ほど前。時代の変化とともに、焼酎、くるみ苗は下火となり、ぶどう栽培がメインの家業となっていました。農業とは縁なく育った宏子さんでしたが、ご主人が思いがけず早逝されたことから、「清香園」の園主としての日々が始まったのです。

「お姑さんがいい人で、勉強や研修があれば、どこへでも喜んで私を送り出してくれたのよ。農家の女性はめったに外へ出られず、ひたすら縁の下の力持ちだった当時に、いつも最先端を勉強させてもらえたことが、今に生きています」

「ぶどうをおいしくするには、基本に忠実にすること、それにつくり手の技術が大切ね」。美しく手入れされたぶどう棚を見わたして、宏子さんはいとおしむようにほほ笑みます。苦労して確かな技術を習得し、経験を重ねて品質を高めてきた時間の重みを感じさせるほほ笑みです。現在は、ピオーネ、ナガノパープル、シャインマスカット、ゴルビーなどの品種も栽培している清水さん。「誰もが安心して口に入れられる、確かでおいしいもの」だけを出荷しようと、技術を大切にし、心意気で取り組む農業が、ともに栽培に取り組むご長男の龍輔さんにも受け継がれています。

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